株式市場
米国株式市場は、最近の経済指標が市場予想を下回ったものの、景気後退(リセッション)懸念が一時的に和らぎ、幅広い銘柄で買いが優勢となりました。S&P 500種株価指数は0.64%上昇し、ダウ工業株30種平均は0.85%上昇しました。特に、個人消費の急減速が懸念されていた中で、小売売上高のデータが強弱混在となり、トレーダーにいくらかの安心感を与えました。
一方、半導体大手エヌビディアは下落しました。エヌビディアのCEO、ジェンスン・フアン氏が18日に行う基調講演に注目が集まり、同社の見通しが今がピークで、今年下期は良好ではないのではないかという懸念が投資家に広がっています。
為替市場
為替市場では、ドルが主要10通貨に対して安値を更新しました。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は昨年11月以来の安値となりました。ただし、ドルは短期的には下げ渋る可能性が指摘されています。ドル円は149円台で推移し、円は主要10通貨で唯一対ドルで下落しました。
原油価格
ニューヨーク原油先物は2営業日続伸しました。中国が内需喚起策を発表したことや、中東情勢の緊張が影響しています。特に、イエメンの親イラン武装組織フーシ派に対する米国の攻撃が地政学的リスクを高め、原油価格にプラスの影響を与えています。
金価格
ニューヨーク金スポット価格は上昇し、安全資産としての魅力が高まっています。世界的な貿易戦争が長期化するリスクが大きくなっているため、金価格の見通しが上方修正されています。特に、UBSグループが向こう4四半期の予想を従来の1オンス=3000ドルから3200ドルに引き上げました。
米国の貿易交渉と関税
トランプ政権は、4月に発表される大規模な関税発動を秩序あるものにしようと取り組んでいます。関税の脅しとその取り消し、それに続く混乱の繰り返しで迷走したこの2カ月間、米通商代表部(USTR)のグリア代表が主導権を握ろうとしています。彼は冷静沈着で法律に明るく、4月2日に予定される新関税発表で重要な役割を果たすことが期待されています。
小売売上高と経済成長
2月の小売売上高は0.2%増と市場予想を下回りました。1月分は下方修正され、2021年7月以来の大幅減となりました。特に自動車やガソリン、電気製品が落ち込んだ一方で、コア売上高(コントロールグループ)は1%増加し、電子商取引活動の回復が寄与しました。
経済協力開発機構(OECD)の成長予測
OECDは今年の世界成長率予想を3.1%、来年を3%にそれぞれ引き下げました。貿易を巡る障壁や高い不確実性で、企業の投資や消費者の支出が抑制されると見込む。特に、トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争の影響を受ける国は急速な成長減速に陥る恐れがあります。日本も影響を免れず、今年と来年の成長率がそれぞれ0.4ポイント引き下げられました。
エヌビディアの基調講演
エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが18日に行う基調講演は、人工知能(AI)ブームによる同社の快進撃がピークに達したとの懸念を払拭する機会になり得るとみられています。投資家にとっての関心は、次世代AI半導体「ブラックウェル」や粗利益率、中国事業などに関する発言です。
高速充電技術
中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)は、ガソリン車の燃料補給と同様の速さで充電が可能になるEV用新システムを発表しました。新型セダン「Han L」では5分の充電で470キロメートルの走行が可能になります。この新たなテクノロジーは来月に発売される予定で、EVへの乗り換えを促す可能性があります。
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